全員に当てはまることではありませんが、
発達障害グレーゾーンの子どもたちは人の気持ちを考えることが難しいと言われています。
相手の立場にたった時にどう思うか考えてと言うと
自分はその人ではないから考えられないと子どもから言われたことがあります。
本人の資質なのか発達障害が関係あるのか定かではありませんが、
自分以外の人の気持ちを考えることが苦手という子どもがいることは確かです。
その代表選手でもある息子についてここ数年の変化をまとめてみました。
発達障害グレーゾーンの子どもが人の気持ちを考えるのが苦手
小学校2年生の頃の、小児発達外来での検査により
息子は発達障害グレーゾーン(広汎性発達障害)と診断を受けました。
ADHDや高機能自閉症という具体的な診断名がつくほどではないけれども
周囲の手助けが必要な子どもという説明を受けました。
そんな息子は自分の意思を通すことが多いです。
言いたい事は言い、やりたいことはやります。
そのため、自分の思い通りにならないと癇癪を起して暴れます。
小さい間は親がフォローすることである程度のことは何とかなります。
しかし、学校など親が手出しをできない環境にいる間は
子どもが自分で何とかするしかありません。
中でも友だち関係というのは子どもにとっては大事なことになります。
学校へ行けば、同級生がたくさんいます。
その中で楽しく過ごしたいと思えば
年齢関係なく人間関係は重要です。
息子は誰かにストレートに言葉を投げてしまい傷つけてしまうことがありました。
そんな時に私は
『〇〇(息子の名前)が友だちに△△って言われたらどう思う?』と聞きました。
息子の返事は
『言われてないから分からない』と。
予測する、想像するということが苦手なので
当時は考えたくもなかったようです。
実際に、息子がクラスメイトからイヤなことを言われた時は
家で暴れていました。
自分がしたことと同じことを自分がされたら暴れる
それなのになぜ相手が傷つくのか理解が出来なかったようです。
抽象的なことを説明するのは難しく
例えを使って説明をしてみるのですが、
最後には息子から『言ってる意味が分からない』と逆切れされるという悲惨な結果でした。
人の気持ちを考えることが絶望的にできなかったのです。
自分が人に対して平気で傷つく言葉を投げるのに自分が同じことを言われたら怒るのです。
その状態を見た時に、これから息子は友だちと上手くやっていけるのだろうか?
とても心配になったことを今でもはっきりと覚えています。
発達障害グレーゾーンの子どもが人の気持ちを考えられるようになるには時間が必要
はっきりと目に見えるものを説明するのはまだ簡単ですが、
目に見えず、しかも人によって捉え方が違う気持ちについては
説明をするのがとても難しいものです。
例えを使ってもその例えの意味について聞いてきたり
そんな場面になっていないと考えられないと言われたり
人の気持ちをその人の立場に立って考えるというのは
高度なスキルみたいです。
発達障害だからか息子本人の資質からか
原因も対策も分からない状態で人の気持ちを理解させるというのは
正直なところ、私一人ではお手上げでした。
すぐにできなくても大人になる頃には身に付けたいと考えていたのですが、
有効で効果がある対策を見つけられないまま何年も過ぎてしまいました。
現在、中学生の息子ですが
この1年ほどで人の気持ちを考えることができるようになっていたのです
いつの間に???
私もあまりの変化に驚いて、数日ほど考え込んでしまったほどです。
一体、なぜ
どうやって他人の気持ちを考えることができるようになったのか。
ある一つの仮説にたどり着きました。
本を読むようになったからではないか?
発達障害グレーゾーンの子どもが人の気持ちを考えられるようになった理由は?
小学生の頃は本を読むことができませんでした。
マンガも読めませんでした。
私自身はマンガが大好きなのでマンガを読むことは楽しいことだと思っています。
しかし、子どもたちにとっては
コマ割りが理解できずマンガを読むことができませんでした。
小学校の高学年になってやっとマンガが読めるようになりました。
そしてそれとほぼ同時期に息子は『本を読むこと』が楽しいと言い出しました。
息子が気に入って読んでいるのは『名探偵コナン』の劇場作品のノベライズです。
もともとアニメも好きでいつも見ていますが、
劇場版はスピード感があり面白いそうです。
何冊か劇場版の小説を買いましたが、
どうやら熱心に何度も読み返しているようです。
本は何度も読むことで今までに読んでいたけれども気づかなかったところに
気付く楽しみがあると喜んでいました。
息子は名探偵コナンの登場人物の中でも個性的なキャラが好きです。
服部平次や怪盗キッド、安室透、赤井秀一が好きで
劇場版に出てくると彼らが活躍するらしくとても楽しいようです。
主人公はコナンくん(新一)なのでストーリーはコナンくんの目線で進みます。
しかし、他のキャラクターが面白く絡んできます。
怪盗キッドや今年公開された『ゼロの執行人』のメインキャラの安室透は
敵なのか味方なのか最初は分からないのです。
物語はコナンくん目線なのですが、他のキャラも好きなので
自然にそのキャラを追いかけていたようです。
そこで直接ストーリーに出てきていない他の登場人物について
考えるようになったと思っています。
ストーリーにどうそのキャラが絡んでくるのかが
分からない間はドキドキしてだんだん分かってくるのが面白いのだそう。
それこそフィクションの楽しみ方の一つだと思います。
名探偵コナンの世界でその面白さにはまった息子は今は劇場版をよく見ています。
映画を観て、小説を読んでを繰り返しながら作品に対する理解をどんどんと深めて行っています。
もちろん、それは息子が楽しいと思ってやっています。
私がストーリーについて質問してみると
息子なりの解釈が言葉で出てくるようになりました。
説明の中には息子の推測も入っています。
自分が本を読んで知ったストーリーにプラスして息子なりの推測まで説明するようになったのです。
今までの状態からすると驚きです。
『☆☆(キャラ名)は~と考えて—という行動をしたと思う』という感じです。
自分の気持ちをストレートに表現することですら難しかったはずなのに
物語のストーリーについて登場人物のキャラの立場からなぜこの行動をとったのかという
自分の意見が言えるようになったのです。
気に入った数冊の本を何度も読むことが良かった
私の勝手な仮説ではあるのですが、
息子には大きな影響を与えたのだと思っています。
最後に
息子にとってきっかけとなったのは『名探偵コナン』ですが、
今では他の作品にも興味を持つようになりました。
私自身は映画か原作どちらか見たらそれで良いという程度だったのですが、
じっくりと理解を深める息子にとっては
『映画と本』で1セットになっているようです。
本を読むスピードが遅いのでたくさんは読めませんが、
気に入った本を何度も繰り返し読むことで発見があることを知ったという息子は
今では時間があれば読書をしています
数年前の息子からは考えられないものです。
最近では国語の教科書に出てくる作品についても
行間が分かるようになってきたようです。
文字として表されていないことを文章の他の部分から推測することが
少しですが分かるようになってきたようです。
それは日常の会話でもはっきりと分かるようになりました。
ニュースやドラマ、映画を観ても息子との会話の質が変わってきたのです。
今までは何を言っても言いたい事を伝えるのが大変でした。
最近は省略しても息子は私の言いたいことが分かることが増えてきたのです。
小学生の頃は一方的に言いたい事だけをしゃべっていた息子ですが、
最近は『会話を楽しむ』ことができるようになってきたので
私も息子と話をするのが楽しくなってきました。
何がきっかけとなるか分かりませんが、
やはり子どもは成長するものですね。
その成長スピードの早さは子どもならではなのかもしれません。
明らかに1年前とは違っているのです。
子どもってすごいなと改めて思いました。
もちろん、今でもみんなが普通に簡単にできることが
息子には難しいということはたくさんあります
それでもできることが1つ増えるとそれは子どもにとっても大きな自信につながっています。
まだまだ成長するんだろうなと思うと楽しみです。
※個人的な意見と感想ですが、参考になれば幸いです。
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